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社会福祉法人 京都ライフサポート協会
理事長 樋口幸雄

2003年3月
ありのままの自立を支える
ユニットケアーから見た自立支援


一昨年,50年ぶりに社会福祉事業法が改正され,社会福祉法として新しく生まれ変わると同時に,知的障害者福祉法も大きく改正されました。

障害者の社会参加と経済活動への参画と言うことが,初めて明確に法にうたられたわけです。この改正によって「何が」変わろうとしているのかと言いますと,それは障害のある人たちの「自立」の概念がここにきて,ようやく,その言葉の本来の意味・形で使われ始めようとしていることではないかと思います。

 従来の施設における〜比較的自立度の高い人たちを対象とした〜指導訓練による,到達目標的な自立支援ではなく,どのように重い障害のある人でも。その障害状況に応じた一人一人にあった生活を実現するという意味での「ありのままの自立」というものにようやく固まってきたことにあるのではないかと思います。

このありのままの自立を支えるという理念に基づいた支援ということがこれからの福祉に求められている「専門性」ではないかと思います。

どのように重い障害があっても。当たり前に暮らす方法は必ずある。その方法論を編み出す仕事が,我々援助常務にあたる者の専門性なのでと思います。これからの福祉施設・地域福祉を問わず,そのあり方を考えていくとき,この,障害のある人の「暮らし」を当たりまえという視点で捉え直していくことが大切です。

 地域=自立生活ではありません。自立生活というものは,地域の中に存在するという「形」が大事なのではなく,どのように存在するかということが大事なのだと思います。
つまり,どこで暮らしているかではなく,どのような「暮らし」をしているかがより重要なことではないでしょうか。家庭であれ,グループホームであれ,施設であれ,そこでの暮らしの中身がまず問われなければならないと思います。
 
 今,時代は,地域支援ばやりです。「地域」と名の付かないセミナーや講演会を探す方が難しいくらいの盛況ぶりです。
 私は懐疑的な人間なのかもしれませんが,正直,そうした流れには着いていけません。
私には,地域,地域という言葉ばかりがお題目のように一人歩きをしているように見えます。一向に障害の重い人達の「暮らし」の中身が見えてきません。否。スッポリと抜け落とされているというのが,今回の支援費ではっきり見えてきたのではないかと考えています。

 いたずらに。「地域」という言葉に惑わされずに,障害のある人たちの現実的な視点に立って,最も障害の重い人たちの生活の質を高めることが私のテーマです。

我が国には,43万人の知的障害の方がおられ,内34万人が成人で,その内10万人を越える人たちが入所施設を利用している現実の中で,この入所施設のあり方を抜きにしては考えられません。

最も障害の重い人たちが現実として,入所施設を居住の場として利用されている以上,ここでの生活の質をいかに高めていくかということが,外国ではいざ知らず,我が国においては,知的障害者福祉全体の質的向上にとって不可欠な課題ではないかと考えています。  

庵はそうした思いのこもった「施設」で。ユニットケアーは最も思い障害のある人たちにとって,最も有効な援助方法であると考えています。